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特許出願実務のQ&A<優先権、期限管理、PCTなど>

サイト開設以来、たくさんのお問い合わせをいただきました。
お問い合わせの中でも特に多いものについてご紹介します

日本出願を基礎とする国際特許出願(PCT出願)についての、優先権証明書の提出方法は?

PCT出願の願書において優先権を主張しておくことが大前提となります。それに加えて、優先権証明書の提出手続が必要になります。この手続には少なくとも3つの方法があるため、かえって混乱される方も多いようです。以下の3つの選択肢から一つを選んでください。

<1>願書の「・・・受理官庁に対して請求している。」のチェックボックスをチェックするとともに、優先権証明願を添付した手続補足書を、受理官庁である日本国特許庁に郵送する(国際出願日から3日以内必着)。
<2>優先権証明書を取得して、それを優先権書類提出書に添えて特許庁に提出する。
<3>優先権書類送付請求書に、優先権証明願を添付して特許庁に提出する。

上記のいずれの方法でも構いませんが、何らかの事情で優先権証明書を既に所持しているなら<2>の方法でそれを提出してもよいし、出願準備中に優先権証明願および手続補足書を用意しているなら<1>の方法が手早いですし、それ以外の場合には<3>の方法が簡便です。

これらの手続のための書類の記載例はこちら

国内優先権主張出願を基礎とする外国出願(国際特許出願(PCT出願)を含む)の留意点は?

「最初に日本出願を行い、改良発明について国内優先権主張出願を行った。その後に外国出願を行う場合には、優先権の取扱いはどのようにすればよいのか?
このような疑問は大変多くあります。このように、複数の出願が関連する優先権の取扱いは、特許実務によく慣れた人でも間違った取扱いをなさるケースがあります。優先権の主張は基本的には出願時に決定してしまうので、後でトラブルになることがあります。優先権の取扱いは、原理原則に立ち返って検討する必要があります。

結論としては、「最初の日本出願と、2回目の出願(国内優先権主張出願)の両方を基礎として外国出願をする」というのが第1選択です。

優先権の基礎の出願を1つにしたいということであれば、「最初の日本出願」を基礎として外国出願します。
「最初の日本出願」を基礎とせずに、「2回目の出願(国内優先権主張出願)」だけを基礎として外国出願する、という方策は原則的には誤ったやり方です。

ここでは、結論だけをまとめました。上記のような結論を導く説明については、別ページで詳しく説明します。

ある発明について日本で特許出願をしたが、外国出願についていつ頃から検討すればよいか?

最先の出願(基礎出願)から6ヶ月経過時および9ヶ月経過時をメドに、PCT出願を含む外国出願や、改良発明を盛り込んだ優先権主張出願を行うか否かをご検討ください。

海外出願のときに利用するパリ条約上の優先権でも、国内優先権でも、最初の出願(基礎出願)から1年が期限です。期限の半年前から準備を始めれば十分な検討時間が確保できるはずです。

特許出願の審査手続をスムーズにしたり、適切な広さ・強さをもつ特許を得るためのコツはいろいろありますが、出願の後では手続の種類・範囲が相当に限られます。結局のところ、出願(優先権主張出願)当初のクレイム・明細書の出来・不出来によるところが大きいのです。

したがって、外国出願前あるいは国内優先権主張出願の前に十分な検討時間を確保することが特許の手続きを上手に進める最大のコツです。他の仕事に忙殺されると基礎出願後のフォローはついつい後回しになりがちですが、早め早めの準備を実践されてはいかがでしょうか。

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